お荷物と嘆くあなたに
 メンタルヘルスの講演でかならず出る質問というか、意見があります。それはとても悲しいものです。

「たしかにメンタルヘルスが悪くなってお休みする人たちは気の毒だけれど、ちょくちょく休まれるのは、率直にいって迷惑なのです。私たちだってきびしい中を必死でがんばっているのに」・・・・と

 あるいは

「私たちだって大変な思いをしているのに、職場復帰をしてもなかなか仕事がはかどらない人たちの分をカバーすることになるので、はっきりいってお荷物と思うのですが・・・」
 
 こんなこと言っていいのだろうか? という苦しい表情で、まわりに訴えるように発言されます。

こういう発言をしてしまう自分が情けない。でもこれが本当の気持ちなの! という正直さと切迫感もひしひしと感じられます。

  私の胸にはショックと悲しみ、悔しさがこみ上げ未熟な自分の講演内容を恥じるのです。

  けれど、いつも同じ意見が出されるので、冷静になって振りかえってみました。

すると・・・

 そういう意見を出されるのは決まって教育、それも障害児教育にたずさわる先生方で、しかも皆女性なのです。 そして「こういう厳しい職場では強い人間でなければだめなのよ! 」と、自分や周囲に言いきかせるような口調でおっしゃいます。

 強さの仮面をかぶっていると、心の不調をかかえた同僚の存在はストレスになってくるのですね。
 
 あまりにも過重な仕事に追いつめられて、障害児の子らを相手に、孤独に奮闘する姿が眼に浮かんでしまい、私は少し横を向いてにじむ涙を隠すのです。 

このような発言をされる方を追いつめているものは、いったいなんだろう? 

 障害をもつ人と、健康な人とが共生できるはずの社会をめざしている先生方のはずなのに

心の病に倒れた仲間を「お荷物」と感じてしまう職場とは、いったいどんな職場なのだろう? 

と思うのです。

 いつかは皆、年老いたり病気になったりで、期間の長短は別にしても障害をもった生を過ごすというのが、人間なのですが・・・・

 教育現場で孤独に奮闘される先生方のために、労働運動はどのように行動したらよいのか、もう一度振りかえっていただけたら、と思うのです。

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教師のメンタルヘルス その2   2001年 12月 1日